社会脳

1990年、イギリスの進化人類学者レスリー・ブラザーズが初めてヒトを対象にして「社会脳」(social brain)という言葉を使い、「ヒトの脳の大脳皮質が極度に発達しているのは、社会集団の中で生き抜く社会性を身につけるためだった」という「社会脳仮説」を提唱しました。これと同じような研究が積み重ねられ、今日も社会脳仮説の検証が世界中で進められています。それらの研究の中でも、「共感」の研究は最先端のテーマのひとつです。(中略)人類において知識・教養・人格は、いずれも個人から社会全体へ拡大し、また逆に社会全体から個人の内部へと浸透し、拡大と収縮を繰り返しながら柔軟に発育・発達しているので、「自分の子どもだけは良い子に育つように」と願うことは、親心として無理のないことですが、実は、社会脳の観点からはそのように考えることは子どもにとってプラスになりません。現代社会の子育てで最優先されなければならない最重要事項は、自分の子どもが人類社会の一員であり、社会全体の知識・教養・人格と共同体を構成しているのだという「共に生き、共に育つ」意識を社会全体と養育に関わる全ての人たちが共通認識として持つことであり、同時にその意識を子どもたち自身にも持たせることなのです。そしてそれが、結果的にわが子のためにもなるのです。「他人のことは関係ない」という考え方や人生観は、子どもの成長や、社会脳にとって最も有害であり、今後生きていく上で子どもたちには最も好ましくない考え方であるということをすべての人々が強く認識することが、人類の遺伝子を未来につないでいくことにつながるのです。(藤森平司著「保育の起源」より)


確かに、私も一日で最も脳を動かしているのは、人について考えることのような気がします。


でも、私の脳は年齢的に育ちませんし、逆に衰えるばかりです。


脳は乳幼児期の間にほとんどが完成すると言われています。


ですので、乳幼児期の間に如何に「人間関係の中で生きるか」が大事です。


ですので、保育園やこども園という環境は、脳を育むのに絶好の場所です。


今日も、園では子ども同士でケンカをしたり、泣く子どもがいました。


その間にも脳が成長しているのです。


かみつきや引っかきなどは保育園ではよく起こることです。


でも、かみつきや引っかきを起こさないために子どもたち同士を離して保育することは、本末転倒です。


もちろん、傷ついた子を見て悲しむ親の気持ちは痛いほどよくわかります。


でも、子どもの脳を含めた成長にとって、とても大切なことだということを理解してもらいたいと思います。

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