脳の発達とチームワーク

以前、AFP通信の記事で、「人類の脳の発達にチームワークが大きく影響してきた」という研究が紹介されていたことがありました。「人類は仲間とのチームワークを通じて脳を大きく発達させてきた」とするアイルランドと英国スコットランドの研究チームによる論文です。研究チームはコンピューターを用い、社会生活における困難な状況に応じて神経回路網を発達させる人間の脳についてのシミュレーション実験を行いました。こんな実験内容です。用意されたシナリオは2種類。一つは、共謀して罪を犯したふたりが別々に警察に逮捕され、仲間の共犯者について自白するか否かを迫られるというシナリオ。もうひとつは、雪道を運転していて吹き溜まりに突っ込み車内に閉じ込められたふたりが、互いに協力して雪から車を掘り出すか、それとも自分は車内にとどまり、相手に雪を掘らせるかというものです。どちらのシナリオでも、利己的な選択をしたほうが自分の得になりますが、この実験では、「脳が発達するほど他者との協力を選択する」という結果が導き出されたそうです。「ヒト科の祖先と比べ、なぜ現生人類ホモ・サピエンスの脳は大きくなったのか」という疑問は長らく、科学者らの間で謎のままだったのですが、最近は、徐々に解明され始めています。この研究チームでは、「生き残るために欠かせないのが他者との協力。そこで、多様で複雑な社会に対処していくためには脳を発達させる必要があった」とみています。(藤森平司著「保育の起源」より)

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