きょうだいの役割

赤ちゃんは、他者の存在を機能によって使いこなしているといわれています。遊ぼうとするときには同じくらいの発達の子を選び、模倣しようとするときには少し上の子を選び、教わろうとするときにはもう少し上の子を選んでいると言われています。子どもは、気が合うか・合わないかという個人差によって相手を選ぶこともありますが、年齢差で選ぶことも多いようです。この年齢差のある子ども同士は、家庭内でのきょうだいか、地域の子ども社会の中に存在していましたが、それも今はなくなってしまいました。したがって、今は様々な年齢の子どもと遊ぶ機会を意図してつくらなければなりません。そんなことから、最近、きょうだいの役割についての研究がされています。(中略)それは、子どもの育ちに異年齢児の存在がどのように作用するかということです。このことについて、日本で最も有名になったのが、ロバート・フルガムの「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」という本かもしれません。それによると、著者であるフルガムは、「自分が人格形成をしていく過程で、幼稚園のときの仲間との葛藤、けんかをしたりとか、あるいは場合によっては助け合ったりとか、あるいは自分が約束を守らないと非常に手痛い目に遭うというようなことから、多くのことを学んだ」と言っています。人生に必要な知恵は、高等教育で学んだわけではなく、幼稚園の砂場にあると言ったのは、砂場に重要な意味があるのではなく、異年齢の子ども集団に意味があるということなのです。(藤森平司著「保育の起源」より)


子どもが自ら成長するために、色んな年齢の子どもをその目的によって使い分けているんですね。


当園のクラス分けが、2歳児クラスを除いて、0~1歳児クラス、3~5歳児クラスと異年齢集団を同じ環境に置いているのは、そういった意味があります。


きょうだいが多くて地域との繋がりがあった昔の時代、保育園の役割は「母親の代わり」でした。


しかし、少子化で地域の繋がりが希薄になった現代では、保育園には子どもたちに「社会」を経験させる役割が求められています。

コメント

人気の投稿