オープンスクール

 廊下と教室の間の壁をなくしたいわゆる「オープンスクール」は、今では日本でも珍しいものではなくなりました。それはまさに、子どもたちを教室に「囲い込む」のではなく、一人で学びたい時は静かなスペースで、「協同的な学び」や何らかのプロジェクトに取り組む時は作業台のある広いスペースで、といった具合に、学びの「個別化・協同化・プロジェクト化」を、より充実したものにしていくためにつくられた学校です。当初は、保護者などから「周りがうるさくて勉強に集中できなくなるのではないか」といった声が盛んに聞かれたこのオープンスクールですが、こうした発想は、教室とは子どもたちが一斉に先生の授業を「聴く」場所だという固定観念に、私たちがどれだけ縛られているかを物語るものだといえるでしょう。デューイは、先生の話を「聴く」教室ではなく、子どもたちが様々な協同的な作業・活動に打ち込める学習空間を作るべきだと訴えました。オープンスクールはこうした新教育の思想を実現するためにつくられた、新しい学校建築のあり方なのです。
 当初はその目新しさのために、オープンスペースをどう活用すればいいか、教師も生徒も分からないという問題がしばしば見られました。しかし今では、たとえば大きなテーブルや座り机、可動式のイスやソファといった、様々なタイプの家具を置くことを通して、子どもたちの個別的、協同的、そしてプロジェクト型の学びを誘発する仕掛けがつくられています。建築家の工藤和美が言うように、「授業内容に合わせて様々な場所を先生がアレンジすることが、これからの教育現場には求められてくる」と言えるでしょう。

 このオープンスクールの考え方は、当園の2階のオープンスペースの考え方と同じですね。これからの時代に必要な教室・保育室のキーワードは、「フレキシブルな空間」だと私は考えています。当園の設計コンセプトも、「フレキシブル」でした。

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