分娩方法の変化

~書籍 「保育の起源」より~




人類は、気候変動と急速な環境変化を生き抜くうちに、直立二足歩行という特徴的なスタイルを身につけます。そして、その歩行の変化が「分娩方法の変化」をもたらします。この分娩方法の変化については、骨盤の形の解析の専門家である米国デラウェア大学のカレン・ローゼンバーグ博士がこんなことを述べています。
≪これまで私たち人類の進化の重要なポイントは道具や言葉の使用だと考えられ、狩猟などの男性の活動が注目されてきました。それに対し、出産はあまり注目されなかった一面です。しかし、私はこれが人類の進化にとって、とても大切だと考えているのです。≫
そして、博士の研究から、≪産道を通るべき胎児の頭部を上から見ると、額と後頭部を結ぶ線が長く、両耳を結ぶ線が短い楕円形になっている。ところが、産道の入り口は、母胎の左右方向に長い楕円形で、その向きは産道の途中で90度旋回してしまう。それ以降は、母胎の前後方向に長い楕円となる。そのため、胎児は、最も大きい頭と肩を産道の最も広い場所に合わせて身体を旋回させなければならないという事態に陥る≫ということがわかりました。
すなわち、人類は出産に際して常に誰かの介助が必要となるということです。ちなみに、この出産を介助するという習慣は、人類世界共通だそうです。 










私たちの祖先は、両親だけでなく祖父母やきょうだい、おじ、おばなど、家族みんなで子どもを育ててきました。


私たちホモ・サピエンスだけがここまで進化してきた理由は、「共同保育」にあると言われています。


そして、子どもを産む方法についても、ホモ・サピエンスは人と協力して行う方法をとることになりました。


人類の始まりの時も、そしてAI時代を迎えようとする現代も、「人と人との関わり」が重要であることは変わらないのですね。


「人間が存在する意味は、人間関係の中にしか見いだせない」


故佐々木正美先生の言葉がふと思い浮かびました。

コメント

人気の投稿