競争・多様化

 「競争・多様化」の方はどうでしょう?先述した二つの平等を、まずはより掘り下げて考えてみることにしましょう。どれだけ学校が最低限の教養(=力能)を保障する必要があるといっても、子どもによっては、障害その他の理由から、それを達成することが難しい場合もあります。その時は、より手厚い”多様”な教育の機会を用意し支えることで、「平等」をできるだけ保障していく必要があるでしょう。何でもかんでも”同じ”にすることが、教育の「平等」というわけでは必ずしもないのです。
 となると、ここへ来て、「平等」と「多様化」とがリンクし始めることに気がつかれたのではないかと思います。私たちは、「平等」のためにこそ「多様」な手段を取る必要があるのです。つまり、義務教育の入り口における「教育の機会均等」と、出口における「教養(=力能)の獲得保障の平等」を達成するためであれば、ある程度の「多様化」や「競争」は容認されていいということになるでしょう。
 とすれば、「一般福祉」のために求められる「平等」と「競争・多様化」のバランスを、私たちはさしあたり次のようにいうことができるようになります。
 必要な「平等」は、「教育の機会均等」及び「教養(=力能)の獲得保障の平等」です。他方で、必要かつ容認されうる「多様化」は、この平等を達成するための方法と、この平等達成以降の教育の多様化であり、またこれら2つの平等を保障する限りにおいては、「競争」も一定容認されうると言えるのです。

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